古書の収集のために消費者金融で借りた
大学を卒業後、アルバイトで生計を立てるようになって5年になりますが、 始めた当時から比べれば時給も上がったし、お金のかかる趣味があるわけではないので、 普段はそんなにお金が足りなくなることはありませんでした。 唯一の趣味といえば、日本の昭和初期の古書などの安いものが好きで、 古本屋漁りをすることです。こういった本はたいてい高いものが多いのですが、 自分の場合はそういった高いものは、最初から興味が沸かずに、 数百円などで売っている安いものを集めるのが好きでした。 というのも、大学に通っていた時の流れから、 古本屋がたくさんある神保町の近くに住んでいて、本屋の店主とも顔なじみになり、 安く出せるような本が入ると、いつも教えてくれたり、 また古書好きな仲間が多くいたことも幸いして、安価なものの中にも 興味を持てる内容のものがあることを知っていたからです。 一度購入を見送った古地図が忘れられず とはいっても、長いことこういったことを続けていると、 やはり高価なものの中に、とても興味を惹かれるものが出てくることもあります。 東京都の古地図は数千円程度で買える安価なものもあり、 すこし頑張ってこのぐらいの価格帯のものをいくつか持っていて、 これよりも高いものは買わないと決めていたのです。 しかしある日、戦前から戦後にかけての時期を網羅した、四谷界隈の古地図が 比較的良い状態で入荷しました。とても興味深いものでしたが、 2万5千円という値段に躊躇してしまい、購入できずに悩んでいたところ、 入荷して二日後にすぐ売れていしまいました。 やはりこういった専門的なものは、欲しい人の目に触れたらすぐに売れてしまうのもの。 その時はまあ仕方がないことと諦めたつもりでいましたが、 3ヶ月経っても、半年経ってもやはりあの古地図のことが忘れられません。 今度入荷したら絶対に購入しようと心に決め、毎月少しづつ貯金始めました。 半年は頑張って2万円ほど貯めたのですが、 そのためにまったく本を買えなくなっていたフラストレーションに耐え切れず、 この貯金すべてを使って安い本をたくさん買ってしまいました。 きっとしばらくは入荷しないだろうと思ってのことでしたが、...